レーザートラッカー 測定機・ソフト種類別

レーザー方式のため広い範囲を精度良く計測でき、さらに可搬性に優れ様々な場所で活躍するレーザートラッカー。
そもそもレーザートラッカーとはどういった機器なのか、また導入するとどのようなメリットが得られるのか知りたいという方もいらっしゃるかと思います。

レーザートラッカーを有効に活用するには、その特徴を正しく理解することが大切です。ここでは、レーザートラッカーの概要や測定方法、導入のメリットなどについて解説します。

レーザートラッカーとは?

レーザートラッカーの仕組み

レーザートラッカーとは、三次元座標を取得する測定機です。
一般的なレーザートラッカーは本体からリフレクタ(球体のアクセサリ)の中心に向けてレーザーを照射し、そのレーザー光が反射して発光源に戻る事でリフレクタの中心位置の座標を取得します。
リフレクタを対象物の測定箇所に接着させて、その箇所の座標を取ります。

まずは、レーザートラッカーとは何か、詳しく解説していきます。

一般的な三次元測定機との違い

レーザートラッカーは三次元測定機(CMM)の一種です。プローブなどを用いて計測する一般的な三次元測定機と大きく異なるのは、本体から離れた場所で使うリフレクタというパーツがあることです。また、レーザーを照射して非接触で計測できることもレーザートラッカーの特徴の一つです。

具体的な違いについては、「レーザートラッカーを利用するメリット」で解説します。

カメラ式3Dスキャナとの違い

レーザートラッカーと似た機器にカメラ式3Dスキャナがあります。こちらもレーザーを使用した非接触での計測が可能ですが、データの取得方法が異なります。

カメラ式3Dスキャナでは、対象物に縞模様パターンなどを投影し、それを高解像度カメラで撮影して、対象物の表面形状データを点群データとして取得します。そのため、縞模様パターンが取得しづらい黒色や光沢のある素材、透明な対象物についてはうまく測定がおこなえません。その場合は、反射防止スプレーを塗布すれば計測が可能となります。

一方レーザートラッカーでは、レーザーを照射し一点ずつの三次元データを取得します。リフレクタを対象物に接触した状態で計測するレーザートラッカーは対象物の色や光沢具合には影響されません。リフレクタを介さず直接計測をおこなう場合は、カメラ式3Dスキャナ同様に、素材によるレーザーの反射の防止策が必要になります。

レーザートラッカーの仕組み

レーザートラッカーは、本体からリフレクタに向けて照射したレーザーが反射して発光源に戻ることで、そのレーザーの角度からリフレクタの中心座標を求めるものです。リフレクタを対象物に接触した状態で測定することで対象物の座標データが得られます。

測定方法はリフレクタ測定が一般的ですが、リフレクタを用いない方法もあります。

レーザートラッカーの測定方法

レーザートラッカーの測定方法はレーザーの反射を利用した方法が基本ですが、計測箇所やオプションによって有接触と非接触と計測方法を使い分けることができます。ここでは、代表的な測定方法をいくつかご紹介します。

リフレクタ測定

リフレクタ測定はレーザートラッカー測定の基本スタイルであり、レーザーを用いた測定方法です。リフレクタを対象物の測定箇所に接触させ、レーザートラッカーから照射されたレーザーがリフレクタで反射し発光源に戻ることで、対象物の座標を取得します。

プローブ測定

「プローブ測定」はリフレクター測定と同様に計測対象物と直接接触しておこなう計測方法です。
ワイヤレスプローブであるT-Probe(AT960専用機器)という機器をレーザートラッカーに認識させ、測りたい箇所にプローブの先端を直接当てて座標を取得します。

軽量なうえにワイヤレス接続で使用でき、操作性に優れています。スタイラス部分が入る箇所であれば、リフレクターでは測定が難しい奥まった場所や隠れて見えない場所でも測定できます。

プローブ測定については以下記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

点を測る『プローブ計測』とは?三次元測定の基本を知る!

ハンディスキャナ測定(レーザースキャニング)

「ハンディスキャナ測定」は、スキャナ機器を用いて非接触で測定をおこなう方法です。対象物に沿ってスキャナを手で動かすことで形状通りの3Dスキャンデータを得ることが出来ます。 スキャナにはいくつか種類があり、精度、対象物のサイズや材質などによって選択可能です。

ロボットに取り付けて自動測定システムとして活用できるタイプもあります。

レーザートラッカーを利用するメリット

続いて、レーザートラッカーを利用するメリットをご紹介します。一般的な三次元測定機との違いについても解説します。

大きな対象物を計測できる

門型やアーム型の三次元測定機は装置の大きさによって測定可能な対象物のサイズが決まっており、大きな物は測定できない場合もあります。一方レーザートラッカーは、レーザーさえ届けば離れた位置にある航空機や大型機械などの大きな対象物の計測さえも可能です。レーザトラッカーを中心に水平方向では360°の測定が可能なため、設置場所や向きなどの自由度が高いのも特徴です。

測定範囲の直径は製品によって異なりますが、一般的には10m以上の測定範囲においても高い精度で測定可能です。導入を検討しているレーザートラッカーの測定範囲が対象物をカバーできるか確認が必要です。

3DCADデータを取り込み実物との差異を測定できる

製品の3DCADデータを読み込み、実物との差異を測定することもできます。

3DCADとは三次元データの作成をおこなう「CAD(Computer Aided Design)」のことで、3DCADデータとはCADで作成した三次元データのことです。差異を測定できることで、設計どおりに製品ができあがっているか確認できます。

持ち運びが可能で場所を選ばず測定できる

レーザートラッカーの大きさは製品により異なりますが、多くが持ち運び可能であるため使用する場所を選びません。

対象物が大きいなどの理由で設置された部屋に測定機を入れられなくても、持ち運び可能なレーザートラッカーであれば計測できます。また、遮光物がある場合でも、レーザートラッカー本体を移動させれば計測できます。

レーザートラッカー導入時の注意点

汎用性の高いレーザートラッカーですが、導入時には注意しなければならない点があります。導入の検討をする際には必ず確認しておきましょう。

対象物に応じてタイプを選ぶ必要がある

レーザートラッカーは製品によって測定可能な範囲や対象物のサイズも異なるため、目的や対象物に合わせて適切なタイプを選ぶ必要があります。

また、レーザートラッカーはレーザーが届かない箇所の測定はできません。ただしワイヤレスタイプなどの有接触プローブや他の測定器と組み合わせて使用することで、測定しづらい場所も簡単に測定できるようになる場合があります。

十分なスペースが必要になる

レーザートラッカーにはコンパクトな製品もあり、さまざまなサイズの対象物を測定できますが、対象物の周囲に十分なスペースがあるか確認しておくとなお安心です。

対象物が大きい場合、一方向からすべての測定ができないことがあり、レーザートラッカーを移動させて測定するケースが考えられるためです。レーザートラッカーを自由に動かせる環境でないと、正確な測定は難しくなります。

TTSのLeicaレーザートラッカーシリーズのご紹介

TTSが提供するLeicaレーザートラッカーシリーズをご紹介します。

TTSのLeicaレーザートラッカーシリーズのご紹介

Leica AT960

AT960は、リフレクタ計測に加え、ハンディタイプスキャナーによる非接触三次元形状計測、ワイヤレスプローブ「T-Probe」による有接触での三次元寸法計測が可能です。
マニュアル計測から計測の自動化(計測自動化・組立自動化)、ロボットキャリブレーションまで幅広い用途で活用できます

また、レーザーが障害物などで遮断されてしまった場合でも、自動で対象物にロックオンする「パワーロックシステム」を搭載しています。そのため、手動でロックオンし直す必要がなくなり、作業の効率化につながります。

リフレクタ計測の計測範囲の直径は120mと広範囲でありながら、システムは外部バッテリー駆動にも対応しかつワイヤレス通信が可能のため、持ち運びも簡単です。

詳しくはこちらをご覧ください。

LeicaレーザートラッカーAT960製品詳細ページ

Leica AT500

AT500は、高精度測定と簡単操作はそのままに、完全なケーブルレスとコントローラ一体型の可搬性を極めたレーザートラッカーです。内蔵バッテリー駆動で使用場所を選びません。計測範囲は最大直径320mで、大型構造物の検査にも対応しています。

従来のモデルでは手動で水平出しをおこなったあとにリフレクタによる本体のイニシャライズが必要でした。しかし、AT500はAT960・ATS600と同様に電源を入れるだけでリフレクタを必要とせずに自動でイニシャライズが完了するため、操作性がさらに向上しました。

詳しくはこちらをご覧ください。

LeicaレーザートラッカーAT500製品詳細ページ
ついにケーブルレス!新登場の次世代レーザートラッカーLeica AT500の特徴

Leica ATS600

ATS600は、リフレクタのようなツールを使わないダイレクトスキャニングが可能なレーザートラッカーです。

ヘッド部分は360°回転するため、ダイレクトスキャニングでの計測範囲の最大直径は120m。 リフレクタを使用した計測も可能で、範囲の最大直径は160mです。
パワーロックシステムによってリフレクタに自動的にレーザーをロックオンできます。PCとのWi-Fi接続によりケーブルレスで使用できるため操作性にも優れています。

こうしたシームレス設計のため、大型構造物や鋳物のポイント寸法計測や鉄道車両の表面計測、船舶の最終組立検査など多方面で活躍しています。検査の内容によって、リフレクタの組み付け・取り外しを使い分けることも可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。

LeicaレーザートラッカーATS600製品詳細ページ
期待の新星は「世界初」の破天荒レーザートラッカー?!
ダイレクトスキャニング活用!大型構造物の計測

TTSのレーザートラッカーの導入事例

TTSが提供するレーザートラッカーの導入事例をご紹介します。

三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社様

三井住友建設鉄構エンジニアリング様では、橋梁製作工場の計測工程においてLeicaレーザートラッカーAT960および計測ソフトウェアを採用していただいています。これまでの鋼製メジャーなどを用いた一次元の寸法計測から三次元座標計測に切り替えたことから、製品の出来形のみならずブロック間の取合いなどの確認も可能となり、データの有用性が飛躍的に高まりました。

従来は計測に2人、計測後の帳票作成などに1人必要としていましたが、レーザートラッカー導入後は最小1人、最大2人での計測が可能となり、帳簿作成作業も合わせると大幅なリソース削減を達成。将来的には、非接触式のレーザートラッカーを活用していくことで夜間自動計測を実現し、更なる効率化を図る計画を立てています。

詳しくはこちらをご覧ください。

三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社様

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構様

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構様では、放射線の医学的利用や量子科学技術に関する研究開発をおこなっています。
2006年に欧州・ロシア・米国・中国・韓国・インドと締結した「ITER(国際熱核融合実験炉)協定」を受けて、これまで使用していた核融合装置「JT-60」を解体し、「JT-60SA」へ改造することになりました。

核融合装置の改造にあたって、日本や欧州で製作した部品を正確に組み立てる必要があり、その際に活用したのが「Leica AT960」などのLeicaレーザートラッカーでした。

組み立てでは、狭い空間や入り組んだ場所での部品設置をおこなう必要があります。その際にレーザートラッカーで今どこにパーツがあるのか、どこに設置すればよいのかをパソコンでリアルタイムに確認できたため、作業の効率化につながりました。

また、装置の中心部の組み立てに関しては、設置誤差が1mm以下と厳しい条件でしたがLeicaの高い精度を頼りに組み立てを進めているとのことです。

詳しくはこちらをご覧ください。

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構様

まとめ

レーザートラッカーは、リフレクタやオプションのプローブ使用による有接触測定や、ハンディタイプのスキャナやダイレクトスキャニングによる非接触測定など対象物の大きさや場所を問わず計測できる三次元測定機です。

機種やアクセサリーによっても異なりますが、大まかなイメージでいうと10m離れた物を0.1mm以下の単位で計測することが可能です。精度の項目は多岐にわたり、補足事項も多いため、詳細については製品ページのスペック欄にてご覧ください。

「こういうワークを測るのにも向いている?」「こんな環境でも使える?」「○○を測るにはどのモデルがいい?」など、質問がございましたら、お気軽に下記問い合わせ先へご連絡ください。

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