近年、深刻化する人手不足や技術者の減少を背景に、業務を自動化して生産性を高める取り組みが広がっています。
これまで人がおこなっていた作業をICTツールやロボットに任せることで、業務効率の向上やコスト削減を実現する企業も少なくありません。
この記事では、自動化の基本的な考え方からメリット、導入のコツまでわかりやすく解説します。自動化の取り組みを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
業務効率が上がる「自動化」とは?
自動化とは、人が担っていた作業をICTツールやロボットなどに任せることで、業務効率の向上を図ることです。
例えば、毎日同じ時間に届くメールから必要な情報を取り出してExcelに入力する作業を考えてみましょう。人が手作業でおこなう場合、メールを開いて内容を確認し、必要な数値をコピーしてExcelに貼り付ける、という手順を毎日繰り返す必要があります。
こうした作業を人が担う場合、以下のようなデメリットが考えられます。
- 人員を割くため、他の業務が滞る
- 手作業は時間がかかり、処理スピードが遅い
- 作業者によって処理方法や結果にばらつきが生じる
- 入力漏れや転記ミスなどの人為的なエラーが発生する
自動化の仕組みを取り入れることで、これらの課題は大幅に軽減できます。ソフトウェアがメールを自動で読み取り、指定した情報を抽出してExcelに入力するためです。
近年では、働き方改革の推進や労働人口の減少といった社会背景もあり、あらゆる業界で自動化への関心が高まっています。
自動化の主なメリット
業務を自動化することで、企業には多くのメリットがあります。ここからは、代表的な4つのメリットについて解説します。
効率と生産性が向上する
自動化の大きなメリットの一つは、業務の効率化と生産性の向上です。反復的な定型業務を自動化することで、同じ作業を短時間で処理できるようになります。
例えば、手作業で1時間かかっていたデータ入力作業が、自動化によってわずか数分で完了するようになれば、その分の時間を他の重要な業務に充てることが可能です。
また、自動化されたシステムを24時間365日稼働させることも可能なため、人が休んでいる間も作業を進められ、全体的な生産性の大幅な向上が期待できます。
コストが削減できる
自動化は、長期的なコスト削減にもつながります。導入段階では一定の投資が必要ですが、人件費の削減、残業代の抑制、ミスによる損失の防止などにより、トータルでのコストパフォーマンスの向上が期待できます。
特に、大量の定型作業を処理する必要がある業務では、自動化による費用対効果が高くなるでしょう。また、自動化により設備の稼働時間を延ばすことができれば、既存の資産の有効活用にもつながります。
精度の向上を狙える
人が作業をおこなう場合、どうしても疲労や集中力の低下によってミスが発生します。特に同じ作業を長時間繰り返すと、ヒューマンエラーのリスクはさらに高まります。
正しい手順をプログラムして自動化しておけば、システムは常に一定の品質で作業を実行するため、このような人為的なミスを防ぐことが可能です。
これにより、作業の精度が向上するだけでなく、成果物のばらつきを抑える効果も期待できます。
また、属人化を防げる点でも自動化は有効です。特定の人しか対応できない業務があると、その人が不在の場合に業務が滞ってしまいますが、自動化することで誰でも同じ品質で業務を遂行できるようになります。
人材不足を解消できる
日本では少子高齢化にともない、労働人口が減少し続けています。多くの企業が人材確保に苦労するなか、自動化は人材不足を解消する有効な手段のひとつです。
単純作業や反復作業を自動化することで、限られた人材をより付加価値の高い業務に配置できます。
例えば、データ入力作業を自動化すれば、その担当者は顧客対応や企画業務など、人間の判断や創造性が必要な仕事に集中できるようになります。
また、働き方改革の観点からも自動化は重要です。長時間労働の是正や有給休暇の取得促進が求められるなか、業務を自動化することで、従業員の労働時間を適正化し、ワークライフバランスの実現をサポートします。
業務自動化の種類
自動化できる業務は多岐にわたります。代表的な業務自動化の種類は下記のとおりです。
ソフトウェアによるプロセスの自動化(RPA)
RPA(Robotic Process Automation)は、パソコン上でおこなう作業をソフトウェアによって自動化することを指します。人がパソコン上でおこなうクリックやキーボード入力などの操作を記録し、その手順を自動的に実行させることができます。
RPAが得意とするのは、以下のような業務です。
- データの入力や転記
- Excelファイルの集計や加工
- メールの自動送信
- Webサイトからの情報収集
- システム間のデータ連携
RPAと似ているのが、マクロと呼ばれる自動化の仕組みです。一般的に広く使用されている「Excelマクロ」は、作業手順をプログラムし、伝票やグラフ、表などを自動で作成できます。
RPAはプログラミング不要で操作できるツールが多く、マクロに比べて導入・運用のハードルが低い点も特徴です。
一方で、マクロはプログラミング言語を扱うため高度な自動化にも対応できますが、一定の専門知識が必要になります。
AIを用いた自動化
AI(人工知能)を活用した自動化は、近年急速に発展している分野です。特に2022年以降、ChatGPTをはじめとする生成AIの登場により、AIによる自動化の可能性は大きく広がっています。
AIを用いた自動化の例は下記のとおりです。
- 画像認識:製品の外観検査や品質チェックの自動化
- 自然言語処理:問い合わせ対応の自動化やチャットボットによる顧客サポート
- 予測分析:需要予測や在庫の最適化
- 文書作成支援:生成AIによるレポート作成やメール文面の自動生成
- 音声認識:会議の議事録作成や通話内容のテキスト化
AIは学習能力を持つため、データが蓄積されるほど精度が向上するという特徴があります。
また、生成AIの発展により、これまで人間にしかできないと考えられていた創造的な作業の一部も、AIがサポートできるようになってきています。
ロボットを用いた自動化
製造現場などでは、産業用ロボットによる物理的な作業の自動化が進んでいます。従来は人の手でおこなっていた組立作業や溶接、塗装、搬送などをロボットが担うことで、作業効率の向上と品質の安定を実現可能です。
特に自動車製造の現場では、ボディの組立工程をはじめ、多くの工程でロボットが活躍しています。
また近年では、人と同じ空間で安全に作業できる「協働ロボット」も登場しています。従来の産業用ロボットのように安全柵で囲う必要がなく、中小規模の工場でも導入しやすい点が特徴です。
自動化を進めるコツ
自動化を成功させるためには、適切な進め方を理解しておくことが重要です。ここでは、自動化を進める際に押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。
現場の状況を把握し適した手法を選ぶ
自動化を成功させるためには、まず現場の業務内容を正確に把握することが不可欠です。漠然と「業務を効率化したい」と考えるだけでは、効果的な自動化は実現できません。
まず、現在おこなっている業務を一つひとつ洗い出し、以下の点を明確にしましょう。
- 作業内容と処理時間
- 発生頻度と担当者
- 課題やボトルネック
業務フローを図式化することで、属人化している業務や非効率なプロセスが見えてきます。
ただし、すべてを一度に自動化するのは現実的ではありません。業務の可視化ができたら、以下のような業務から優先的に見直しを進めましょう。
- 定型的で繰り返し発生する作業
- 処理量が多く時間がかかる業務
- ミスが発生しやすい作業
自動化対象の業務が明確になったら、その業務に適したツールや手法を選定します。例えば、以下のような使い分けが考えられます。
- データ入力作業→RPA
例:請求書データの入力、Excelへの転記、定型レポートの作成など - 画像認識が必要→AI
例:製品の外観検査、不良品の検出、部品の識別など - 現場での物理的な作業→ロボット
例:部品の組立、溶接、搬送など
重要なのは、自動化ツールの導入自体を目的にしないことです。あくまで業務課題を解決するための手段として、最適なツールを選ぶという視点を持ちましょう。
導入をゴールとせずPDCAを回す
自動化は、システムやツールを導入して終わりではありません。むしろ、導入後の運用と改善こそが重要です。
自動化を導入したら、効果の測定もおこないましょう。作業時間の短縮度合い、ミスの発生率、コスト削減効果などの指標を確認し、自動化の価値を客観的に評価します。
このように、自動化の仕組みを導入したあとも、PDCAサイクルを回し続けることが大切です。
- Plan(計画):自動化の目標を設定し、実施計画を立てる
- Do(実行):計画に基づいて自動化を実施する
- Check(評価):導入後の効果を測定し、課題を抽出する
- Action(改善):評価結果をもとに、さらなる改善策を実行する
このサイクルを繰り返すことで、自動化の効果を高められます。
また、実際に業務をおこなっている現場の声に耳を傾けることも重要です。システムを使う側の意見を取り入れることで、より使いやすく効果的な自動化を実現できるでしょう。
自動化機器の例
ここまで、自動化の基本的な考え方やメリット、進め方について解説してきました。
ここからは、より具体的な自動化の例として、製造業の現場で活用されている自動化機器をご紹介します。
製造業は、人手不足や後継者不足に直面している業界の一つです。特に日本の製造業では、熟練技術者の高齢化が進む中、技術の継承と生産性の維持が大きな課題となっています。
こうした背景から、製造現場でも積極的に自動化が進められており、さまざまな自動化ソリューションが開発・導入されています。
部品の整列・組み立てを自動化|CoPick 3D
「CoPick 3D」は、カメラで対象物を立体的に認識する3Dマシンビジョン技術を活用した高精度な自動組立システムです。
産業用カメラを用いて、部品の位置や形状を高速かつ正確に認識し、ロボットによる自動組立を実現します。
「CoPick 3D」の主な特徴は以下のとおりです。
- 作業者の介入なしで安定した部品の整列や組立が可能
- 1.5秒以内で部品の位置や形状を認識しロボット動作まで完了できるため、作業進行を妨げないリアルタイムに近い処理が可能
- 色や反射率の異なる物体も同時に認識可能
例えば、自動車の製造工程では、以下のような作業で活用されています。
- フロントガラス・サンルーフの自動装着
- 容器内に無造作に積まれたボルトの位置を瞬時に検出し、順番にピッキング
- 形状が決まっていないワイヤーケーブルやコネクタの接続作業
このように「CoPick 3D」による自動化で、作業時間の大幅な短縮、品質の均一化、安定した生産が可能になります。
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測定から結果レポートの出力まで自動化|PRESTO System
「PRESTO System」は、用途に応じてモジュールを組み合わせられる柔軟なシステムで、必要に応じて機能を追加・変更できる点が特徴です。
ロボットアームに非接触式スキャナを搭載し、レーザートラッカーでロボットアームの位置を高精度に追跡することで、測定から結果レポートの出力までを完全自動化します。
「PRESTO System」の主な特徴は以下のとおりです。
- ラインレーザー方式を採用し、製品に触れることなく、レーザー光を線状に照射して高速・高精度に表面形状を3Dデータ化できる
- 一般的な自動車のプレス部品なら数分、塗装前の車体骨格「ホワイトボディ」でも 30〜60 分で測定が完了するSHINE技術により、光沢のある黒いプラスチックや成形カーボンファイバーなど反射率の異なる素材でも、スプレー処理を行わず安定して測定できる
- マーカーレス測定に対応しており、目印を貼り付ける必要がなく、データ欠落のリスクが低い
「PRESTO System」による自動化で、測定作業の時間短縮、検査品質の均一化、段取り作業の削減が実現します。
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まとめ
労働人口の減少が進む中、自動化への取り組みは企業にとって重要な経営課題です。自動化は、業務効率の向上、コスト削減、品質の安定化、人材不足の解消など、多くのメリットをもたらします。
自動化を成功させるためには、まず現場の業務を正確に把握し、課題を見える化することが大切です。そのうえで、業務内容に適した自動化手法を選び、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していきましょう。
東京貿易テクノシステムは、製造現場の自動化と効率化を推進する多彩なソリューションをご提案しております。自動化の導入や改善をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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