自動車製造工場におけるプレス金型成形プロセスでは、プレス成形後に製品を金型から取り外した際にスプリングバックが発生するため、OK判定の金型を1回で作ることができません。そのため、プレス金型の玉成(=作り込み)に時間を要します。通常は図面通りの金型に肉盛溶接を手作業で実施した後に加工機または手作業で理想形状に調整しています。この肉盛溶接はプレス量産時でも行われています。量産時では、金型形状に問題がないかを確認するために、定期的に形状確認をし、摩耗した箇所を肉盛溶接を行って保全することで製品品質を維持しています。金型の玉成および保全時には次のような課題があります。


プレス金型玉成時の修正・調整および量産時の保全・修正が手作業

  • 1. プレス金型玉成時の修正・調整および量産時の保全・修正が手作業
    玉成時及び量産(保全)時ともに実施している肉盛溶接の課題は人が手作業で実施していることです。手作業では肉盛量が少なすぎたり、範囲が間違っていたりすることがあり、加工機に持ち運んで加工する際に初めて肉盛溶接失敗が発覚します。現在は、手作業が多く定量的に判断できず、熟練者のカンコツに頼って作業を行っているのが現状です。
  • 2. 機上で金型の手修正、または保全した際に、形状保証ができていない
    量産数が多い過渡期こそ金型形状の定期検査を頻繁に実施し、形状に問題がないことを確認したいところです。しかし、従来は測定するためにプレス金型をプレスマシンから取り外す必要がありました。プレス金型のサイズが大きければ大きいほど、プレス機からの取り外しは大掛かりになるため、特にスケジュールがタイトなプレス部門では、機上で金型の手修正や保全を実施後の形状保証ができていないのが現状です。

 機上:プレスマシン上のこと

課題

    従来の測定プロセスでは以下の課題があり、形状保証ができていません。

  • 1. 金型を加工機やプレスマシンから下ろす・分解すると時間が掛かる
    機上ではなく、別の場所にある専用の保全現場に金型を持ち運んで既存の3Dスキャナで保全後の金型を測定し、形状保証することも可能ですが、これには金型の取り外しや、持ち運びに工数を要し、そのような作業を実施する時間はありません。
  • 2. もっとスピーディに計測するために“機上”で計測したい
    機上で金型の手修正や保全作業を実施した直後にその場ですぐに測定し、理想通りの形状になっているかを定量的に確認し、その場で形状保証したい。
  • 3. 機上で計測したいが、既存のシステムでは機上測定ができない
    機上測定を実施したい場合、既存の3Dスキャナでは可搬性が悪く設置する場所がありません。よって、保全現場では設置できる測定機であっても、機上での測定ができません。

従来の方法からプロセスチェンジをし、いかに現場での機上測定を可能にして測定プロセスの効率化を図れるかが重要なポイントとなります。

保全現場(肉盛溶接)

ソリューション

抜群の可搬性を持つ3DスキャナAQROSを用いることで、課題である機上測定を可能にし、測定プロセスの効率化を実現します。

機上測定の実施

コンパクトな収納ケース1つ+PCを現場に持っていくだけで測定が可能です。
AQROSの更なる特徴は、オプションのWi-Fiバッテリーユニット
(AQROS FreeBox)を使用して機上測定におけるケーブルレス測定が可能なことです。
通常の3Dスキャナは、有線のケーブルでPCに繋がり、通信や電源供給を受けています。しかし、保全現場といった入り組んだ場所では、このケーブルの取り回しが大変で、ケーブル断線のリスクもあり非常に危険となります。
AQROS独自のWi-Fiバッテリーユニット(AQROS FreeBox)を使うことで、有線ケーブルによるリスクを避け、機上測定を実現します。
この抜群の可搬性により、機上で緊急保全を実施した箇所の形状保証も行うことが可能になります。

AQROS独自のWi-Fiバッテリーユニット

保全現場での測定の実施

保全現場は振動の影響を受けやすい環境にあります。既存の3Dスキャナでは、その振動の影響を受けてしまい、なかなか満足のいく測定ができていないケースがあります。AQROSはそのような振動の影響を受けずに測定可能です。
保全現場では、定期的に金型をプレスマシンから外して保全現場に持ち運び、不具合箇所の保全を実施します。従来、保全後は検査せずに金型をプレスマシンに組み付けてプレス成形品のトライを実施して、抜き取り検査時に初めて製品形状の不具合に気づきます。
AQROSで金型保全後の形状保証を実施することで、製品の形状不具合をなくして製造歩留りを向上させることができます。
機上測定でなくても、限られたスペースで振動のある保全現場においてAQROSを活用することで、お客様の生産性向上に繋げていただけます。

金型の形状保証の結果イメージ

既存の3Dスキャナは現在の用途でご活用頂きつつ、AQROSの強みを最大限に活かした機上測定を追加することで更なる工数削減が実現可能です。

システム構成(提案例)

AQROS-Scan

FreeBox
(Wi-Fiバッテリーユニット)

ターゲットマーカー/
マグネットキューブ

PC

AQROSに関する製品情報はこちらをご確認ください。

AQROS

可搬性抜群な工業向け3Dスキャナ

FreeBox(Wi-Fiバッテリーユニット)

腰に装着し、スキャナとは有線ケーブルで接続。FreeBoxからPCへはワイヤレスでデータを飛ばすため、ケーブルによるリスクがない。

ターゲットマーカー/マグネットキューブ

金型測定(特に機上測定)に適したマグネット式のアタッチメントを用いることで、作業効率アップ。シールタイプより簡単に設置・取り外しが可能。

ノートPC

FreeBoxからスキャンデータをリアルタイムに受信し表示。測定後の結果をカラーマップ表示。

まとめ

このように、AQROSを使って玉成および保全工程をプロセスチェンジすることで、金型保全時の機上測定を可能にし、これまでできなかった機上保全時の形状保証を実現します。保全した金型や抜き取り検査実施のための製品の持ち運びや測定室での待ち時間を削減することで製品歩留りも向上できます。削減した時間はお客様の製品品質向上のための時間に活用していただけます。

詳細につきましてはお気軽にお問合せください。弊社ではご提案できるソリューションを多数用意しております。
ぜひ、お困りごとをお聞かせください!

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